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特別な乗り物

     タカ爺は便利な乗り物が欲しいと思った。 電動車椅子のように楽でスピードが出る楽な乗り物が欲しい。 そこで、電気自転車を子供の三輪車の形で特注にして、雨の日には全身をカバーできる幌馬車風に透明ビニールカバーをつけた。 カバーは取り外し自由だが、蛇腹にして天気の良い日は小さくつぼまるので取りつけたままでも邪魔にならない。323


     安定感がありこぐ必要が無い、雨でも濡れないし滑って倒れず場所を取らない。 手を加えて高い物になってしまったが、見た感じは自転車の仲間でミニバイクの要素を持っていたが、バイクほどのスピードは出ない。 ある日タカ爺は買い物をしようとして降りた瞬間、さっと誰かが来て素早く乗って逃げ去ってしまった。375


     タカ爺は犯人の後姿を見たが、あっという間の出来事だった。 タカ爺は、悔しさと怒りで犯人逮捕に執念を燃やした。 警察など頼らず、自分の占いを信じて見事自力で犯人を探し出してやる。 いざ占ってみると、そこら中に犯人のいる方角が示される。 犯人だらけではないか・・・ つき止めるには苦労したが、乗り物はタカ爺の家からそう遠くない、アパート付近にあった。 間違えなく自分の物だと確信してチェックしていると、男が現れた。 タカ爺は怒りに任せて文句を言おうとすると、少年が出てきて「お父さんを許してやってください」と泣きながら頼むではないか。 大昔の映画「自転車泥棒」じゃあるまいし。368 


     仕方がないのでタカ爺は子供の手前、「警察には言わずにおくが、乗り物は返してもらうぞ」と言って乗って帰った。 「子供にちょうど良い玩具だったが・・・」と、男はつぶやいた。 男は高級車を盗んで外国に密売していたが、変なものを盗んで邪魔になっていたのだった。293

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サービス業

     タカ爺の祖父の代は和菓子屋をやっていた。 子供時代は不自由しなかったが、店を継がなかったのは正解で、今の時代で存続は難しかったと思う。 人間が癒されるのは薬ばかりでなく、食べる事や芸術、恋も有効である。 悩みを抱えて占いを聞く若い女性には「お嬢さん、このお饅頭でも召し上がれ」と自家製の饅頭を提供するタカ爺だ。 290


     一口サイズの食べやすさで、ひよこ饅頭ならぬコウモリ饅頭である。 客の中に気の強そうな女性客がいた。 占いなど信じないタイプだが、家庭内の揉め事で悩んでいるらしい。 食べるとほのぼのとした気分に癒され、酒の混じった媚薬入りなので、タカ爺の話しを聞く気になる。 わずかに混入させたしびれ薬は人体に影響なく、どうと云う事はない。 402


     客が望めば三度目からの占いは自宅での無料マッサージのサービスがつくので、彼女もそのサービスを受けている。 タカ爺はマッサージに頻繁に来るように薦めているところだ。 一時的に薬が効いたかと思うと、恋に近い気分を抱く暗示にかける。 すると、マッサージを受けながら暗示にかかったせいか、彼女は何だかタカ爺が頼り甲斐のある男に思えた。 344


     タカ爺の考える恋とは行動を伴う事である。 気が強くても彼女に限らず恋をした相手に、信頼して安心してついて行けると思い依存したくなるものである。 彼女はタカ爺にねだるのであった。 「もう少し、お饅頭たべさせてよー」 「ほら、もっとこっちの方もマッサージして。 モタモタすんじゃねえよ。 この爺! このタカ!」と家庭で鬼嫁と恐れられた女をしびれさせたのであった。 「しびれる快感でこういう結果を招くこともあるのじゃな・・・」とタカ爺はうつむいた。 404

占い王子

     タカ爺はゆったり煙草を吸うと煙を吐いた。 占いの仕事は思いの他上手くいくではないか。 タカ爺の回りは若い女の子が数人いる。 催眠術を使うあの有名な占い師は、相手を不安に陥れると暫く留まるように勧めていたと聞く。 ただでさえ悩みを抱えている所に、友人からの事前の情報をもとに過去と将来を言い当てた後、脅し口調で逃げ出しにくくしていた。 78


     しかもメンバーと順番に結婚離婚を繰り返していたというではないか。 羨ましいがワシはそのような事は一切しない。 この頃、煙草の量が増えてかなりのヘビースモーカーになりつつあるタカ爺は煙を吐きながらにんまりした。 女性監禁する占い師か・・・ そういえば監禁王子なんて言葉が流行したが、あれはまた別の話しだ。 120


     ワシは暴力や催眠術を使うなどひどい事など絶対しない。 人類の平和と幸福を願っているのは今も昔も変わりはないのだから。 しかし、マッサージサービスの効果か媚薬のせいか女の子が寄ってくる。 タカ爺は、来る者は拒まず去る者は追わず、全て本人の意志に任せている。 だからココに留まる女性の人数はほぼ一定している。46


     そこへ隣の部屋から何やら物音と声がした。 見知らぬ中年の女がいきなり飛びこんできたらしい。 「ああ、こんな所にいたの・・・ お母さんと一緒に帰ろう。 随分心配したんだよ」と、いう涙声が聞こえた。 その声を聞くとタカ爺は立ち上がり「さあ、一緒にお帰り。 元気で暮らせよ」と言いながら、さっと襖を開けると物凄い煙と一緒に現れた。 何だ!この煙は・・・親子はむせ返ってしまって倒れそうになった。 ワシのやり方は全て煙に巻くのじゃよ。268

ロボット

     今に家事を軽減してくれるロボットは出まわる。 ますます便利な時代になるな。 そんなタカ爺がロボットに興味を持ったのは、癒し系の可愛い子犬のロボットを持ったのが最初だった。 面白くて、タカ爺は舌なめずりやよだれを拭く思いだ。8


     これまでパターンが組み込まれたロボットだったが、タカ爺は全てのパターンに飽きた。 今度はロポットを造り替えよう。 タカ爺はお仕着せに満足しきれず、たくさんの性格と容姿を選んでみたかったので、自分で改良している。 何処にでもある「女王様の言うことをお聞き!」「お帰りなさい、ご主人様」はもう飽きた。 「あんた、こんな時間まで何処をうろついてたのさぁ」の昔懐かしい凄みのある表情と声の台詞で殴ろうとするロボットも飽きた。217


     タカ爺は銭形平次のロボットが投げ銭をするのでそれをよけて運動するのであった。 今本格的に改良に取り組んでいるのは、一緒にお手玉をする可愛いロボットで着物をまとった雛人形のような子供である。 順番にお手玉をしていると、いきなりそのお手玉をタカ爺めがけてぶつけ、次の瞬間羽交い締めにしたかと思うとカウントダウンを始める。 隙を見て反撃しようものなら、自由自在に延びる長い腕を伸ばし懐から水鉄砲を取り出しタカ爺をめがけて嫌というほど打つのである。 「降参だ」というと、これまで通りお手玉を始める。 やれやれで落着くと、またお手玉をぶつけ、捕まると今度はハケを出してくすぐるのである。411


     試作品は完成に近づいていた。 嬉しくて仰向けになって宙でペダルをこぐようにしながら笑い転げるが、歌声がロボットから聞こえていた。 「ぺッぺッぺ♪ ぺーロリン♪」 タカ爺の知るペロリン人の事ではないだろうな、とギクリとするのだった。405

不倫の顛末

     彼女は20代前半、外資系に勤め職場の上司と不倫関係にあった。 二人とも英語に堪能であり社内パーティーで出会ってからだ。 給料も良く、綺麗な服で出勤するOLだ。 しかし、彼女に本命の男性が現れると、事情を告げずにその上司とは別れた。 新恋人は現在の夫であるがサラリーマンではないという理由で、彼女は親の反対を押しきる形で結婚をした。175



     数年後、夫の不倫が発覚した。 彼女は夫の裏切りに悔しさを覚え相手の女に恨みを持つと同時に自分の身の振り方に悩んだ。 子供は無く、もはや二人はお互いに自由を束縛しない間柄となっており結婚の意味はなくなっていた。 彼女はたくさんの悩みを抱えるのでなく離婚するかどうかの一点を悩んでいた。 夫には経済力があり、不倫がどの程度の深さなのかはっきり掴めていなかった。 主婦業の傍ら、好きな趣味の時間を充実させていたし、自分の希望で仕事をしたこともある。 決心がつかない時にタカ爺の占いに行き当たった。8



     彼女は、細かい事情は話さなかったが、経済的苦労がないのは誰でもわかる。 手相を見て、タカ爺は「男の子が一人産まれるようじゃ」と言った。 タカ爺は、彼女が恵まれすぎているのか、性格の問題なのか解らないが、恋愛を人生の中心に置く生き方をしているな、と思った。 彼女はタカ爺の言葉を嬉しい予告と感じながらも、決心がつかずにそのままの生活を続けていた。242



     やがて、夫は新たに友人と会社を立ち上げることにしたので引っ越すことになり、もはや彼女はついて来ないだろうと考えた。 夫も離婚を決断するときだと思い、あっさり離婚が成立した。 タカ爺の占いは、彼女がどちらに転んでも多少なりとも次へ踏み出す彼女の慰めになった。 珍しくスケベ占い師タカ爺もやるものだ。373 

似た者同士

     タカ爺の住む株田町に夏が来る。 飲み友達の株吉はどうしているだろうと思っていたところへ飲み屋に現れた。 「久しぶりじゃないか」 株吉は以前と変わりなく見えるが内心沈んでいる。 二人の共通点は気にしない所だ。468


     株吉は借金を抱えているが、たいして気にしていない。 これで女にもてようったって無理な話である。 株吉は最近女と別れたのであった。 株吉はときめきたいのだが現実は厳しい。 「待ち合わせしましょう」「人妻の秘密」などの迷惑メールを開くか、アダルトサイトにアクセスする興味は薄れ、飲み屋で常連客のタカ爺が相手をするくらいだ。 318


     「本当に久しぶりじゃ。 どうしておった」とタカ爺は繰り返した。 かつてのように絶好調とは言えない株吉は、飲み歩いている。二人は過去に商品詐欺まがいな事をやった所も似ているし、どこ吹く風でチャンスを伺うのも共通している。 株吉には無駄遣いとギャンブルの借金など吹き飛ばす底力がある。 別れた女など未練を持たず次をひっかけるくらいのエネルギーはあり、すぐに立ち直るあたりは二人とも引けはとらない。 91


     タカ爺はうまそうにビールをあおって言った。 「ワシは夢を売る商売をしているようなものじゃ。 しかも半分人助けもしておる。 少し元気がなさそうじゃな」 占いなどに耳をかすような株吉ではないが「社会保険庁をやめてから急にお金に見放されていったな」と呟くのであった。61

宝物

     タカ爺は古物店で何気なく置いてある伝統工芸品を見かけ、昔話に出てくるような小槌(こづち)の形が気に入って購入した。 持ち帰って振ったら何と500円玉が出てきた。 穴も無いのに不思議。 感動。 これは夢みたいだと大笑い。 その後何度振っても、出てこないので暫くほうってあったが思い出した時振ってみると、出てくる。356319


     試すうち、一日に一枚しか出ないと判明した。 最初の一振りで500円玉が出る。 変な事をして出てこなくなったら大変だからそっと振る毎日だった。 いつも通り出てきて当然という状態が続き、500円玉は結構ビンに貯まった。  面白さに満足していたのは一ヶ月だけ。 もっと出ないか、中はどうなっているのだ。 嬉しさと面白さが過ぎ、何でもっと出ないのだろうと、もどかしい気がしてきた。279


     500円玉が貯まるに従い、一日一枚だけというのは変だと思い、どうしてもタカ爺は中を調べてみたくなった。 ついにタカ爺は、紐をほぐし十分に気をつけて分解してみると、単純な作りで、中はあっさりしていた。 ただの空洞で何もない。 日にかざして良く見るが何も無い。 期待はずれであった。  その分解して軽くなった小槌を振ったらぶつけてしまった。 一寸ぶつけただけなのに端が欠けた瞬間不安がよぎった。317 


     恐る恐る、元通りにして、翌日振ってみると500円玉は出てこない。 やり直しが続き毎日試したが出なくなってしまった。 「なんてこった!」ついにタカ爺は怒りに燃え、思いっきりたたきつけて壊した。 「クソーッ、金の卵を産む鶏を殺すのは他人事ではなかった」と、怒りをどこへぶつければ良いか解らないタカ爺だった。 281

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マドンナお吟

Author:マドンナお吟
年齢不詳で正体不明

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