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フランケンシュタイン

     タカ爺はフランケンシュタインの物語が好きだった。  現実は、物語のように身体の様々なパーツを集めるのが不可能だが、手に負えない怪物になってしまうというのがユニークな話しだ。17 


     人間が人間を作るという発想。 政治家の発言ではないが、人間製造機などがあったら面白い。 「あの発言では随分言われてしまっていたな・・・」と、瞬間現実的気分になった。 タカ爺は怪物を作るなら強いヒーローの要素を持ち、知性を備えた不死身の人食い巨人でも作れば面白いと思った。 勿論かまわず人を食べるのではかなわない。 食べるならペロリン国王を食べてもらいたいと勝手な空想にふけった。 20


     その巨人が一人いるだけで、核実験をしたとか、しないという問題も簡単に解決される。 不死身であれば怖い物は無しで、彼の一存でやってもらいたい。 そんな巨人がいたら、タカ爺は自分の分身になってくれるような気がして思わず楽しくなる。 悪いやつを食べるなら食料には事欠かない。 平和になったら、巨人にはベジタリアンになってもらえば良いと思った。 そんな巨人を作り出せたら、タカ爺は富も名声も手に入れ、飽きる事は無い。 61


     いつになく少年のように空想の世界に身を任せていた。 光の中に立ちすくむ巨人。 眼の中に炎を燃やし、ゆっくり歩き出し不思議なオーラを放つ。 片手にマンガ本、片手にアイスクリームを持って、「お帰りなさい。 ご主人様」と言って、セーラー服の女装で出迎えたりして。253

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報告

    久しぶりに現れたあのニューハーフ。 水商売は辞めたらしい。 お店に出るファッションではなかったからだ。 でも、タカ爺の所に来てくれた。223 


     挨拶が済むと話し始めた。 「以前占ってもらう前に、実は一時、保育士になって子供達の世話をしていたのよ。 でも、父兄などに受け入れられないという現実が立ちはだかって断念せざるを得なかったのよ。 残念ながら僕の細やかさと女性ならではの感性を、希望する形であまり発揮する事は出来なかった。 それで、美容師になったの。 自分の美容院を持てるように、頑張るつもりよ」333


     「そうか。 そうだったのか。 元気にしているようじゃな」タカ爺は、懐かしさと嬉しさの入り混じった気分でしみじみと言った。


おそらく皆が、今のそのニューハーフを見ると男か女か解らないだろう。 服装はポロシャツにジーンズで髪は長めにしているが、女のような身のこなしである。336 


「でも夢は夢としていつまでも持っていて良いと思ってるの。 家にいる時は好きなものを着るようにして、僕はこのまま女の意識を持って生き続けようと思っている。 誰が何と言おうと、僕は気にしないで生きているつもりでいる。 強く生きなきゃ駄目よね。 頑張るわ」45


     彼女が去ると、タカ爺は隣の花屋の花を一輪取り上げ、短い腕をグッと前に伸ばし差し出しそのままクルリと回転すると、「頑張って! ウフン」と小声で囁き花の香りを試した。


「いつもと様子が違いますね。 大丈夫ですか」と、顔見知りでしっかり警備の仕事をしている人物に声をかけられ、よろめいて抱きとめられるのであった。238  


 

彼との再会

     占いにやって来たのはこの前挨拶した女と思った、あのニューハーフだった。 タカ爺の所で見事にまくし立てる。 「趣味は活花と編物。 手芸が大好きで趣味の時間を大事にして、いつも自分自信を元気付けるようにしているの。 化粧が好きで美しいドレスに身を包むのに憧れてるの。 お金さえかければもっと美しくなれるわ。 でも世間は認めてくれない。 当然人から笑われる事は多くて、これまで随分嫌な思いをしてきたけど、良いじゃないの。 悪い事している訳じゃないのだから気にしないで生きていけば。 不幸な事ばかりに押しつぶされてはいけないと自分では思ってる。 そうでしょ。 ねっ!」262


     「ところで、何を占ってほしいの?」とタカ爺は言った。134


     「男なのにどうしてこんなに女の意識を持つのだろう。 判ってもらえないだろうな、私の悩み。 そんな時は化粧台に並ぶ香水のビンが、悲しく見えることがあるわ。子供時代は遊ぶのは女の子ばかりで、遊び方も付き合い方も女の子の方が楽しかった。 自分らしく生きようとすると意識が女なので男性ばかりの中で何かするのは抵抗があるのよ。 何だか仲間には入れないし楽しめない。 昔、演劇部に所属して、女役を熱演した事があったのよ。 今も大切な思い出として心の中に生きている。 その時は演技をしたというより、台詞を覚えてそのまま言っただけなのに、それが受けて拍手喝さいを浴びた事もあったわ。 女優は無理だけどね。 それで、要するに転職の悩みなのよ」と、滑らかに話した。21


     「保育士、美容師やメイクアップアーチストを目指すとよいぞ」と、タカ爺は占う前に答えるのだった。 さすがのタカ爺も戸惑うことがあるのだ。 84

電撃的な出会い

     「イヤンバカーン そこはオヘソなの アハン♪」林家木久蔵の歌ではないが、一度は言ってみたい。 それって憧れちゃうな。 着物姿に髪をアップにまとめ、襟足を出すのってしびれるほど好きな髪形。 なんたってにじみ出る色気、しとやかで活発な性格。 ヒステリーを起こすのって醜いじゃない。 ただ刺激的にセクシーなだけじゃなくて可愛らしさって大事だと思っている。 いつまでもその可愛らしさを失いたくない。 これホント。 見た目も大事で色気は色気。 色気と見た目が全てではないが魅力の重要な要素の一つだと思っている。209


      自分では勿論ファッションセンスも悪くないつもり。 アクセサリーも数多く持っているしマニュキュアを塗って手元を綺麗にして気分を変えるのも好き。 ドレスも背中の大きく開いたのは好きなデザインだし、色々なドレスに身を包んでみたい。 ああ、もう少しスタイルが良ければ良いのに・・・ そして最大限に自分を表現しても良いと思う。 もう少しダイエットした方が良いかしら。 下着は集めていないけど、好みははっきりしている。 セクシーなのも好きだけど、自己分析では少女趣味の一面もあって可愛いのが好き。318


     美しい女で居られることこそが僕の全てなの。 だけど人生って残酷なのね。 さあ、仕事に出る前に今日の占いでも読んで気合入れよう。 髪をなびかせ元気良く職場に向かう途中、そのニューハーフは占い師タカ爺と目が会った。 397


     彼?は「今は急ぐので今度寄らせてもらいまーす」とタカ爺に言うと、タカ爺の顔を覗きこんで僅かにウインクしてみせた。 「ああ、待っておるぞ」とタカ爺は答えた。 そのうち彼女なら来てくれそうだな、と何も知らないタカ爺は嬉しさを覚えた。 221

お友達

     近所付き合いの無いタカ爺だが、珍しく近所の人が尋ねてきた。 退職して間もないその男性は元サラリーマンで、子供達夫婦とは上手く距離を置きながら快適に過ごしている。 健康で好きな事をやれるので趣味や楽しみを持って生活していた。22 


     お茶を飲みながらの雑談も良いものだと、タカ爺は思った。 彼は現役時代、海外出張などもあったらしく時代遅れで古いタイプのままの人ではない。 タカ爺の家庭菜園の話しにも関心を示した。 彼は庭の一部を駐車場にしていたので、草花を植えるスペースは少しだが、狭い場所を上手く利用して綺麗にしたいと思っていたからだった。 261


     国の政策や年金の話題から「今はお金が全てみたいな傾向が強まりましたね」と彼が言った。 「本当じゃ」とタカ爺はうなずく。 この近所は大型スーパーの進出で、近くの商店街は閉店に追い込まれ、すっかり活気を失っていた。 その話題になったとき彼は、「そういえば、あの洋品店のご主人が亡くなってからシャッターが下りたままですね」と言った。 「ええっ! あそこも! この前文房具店が閉店したばかりだったのじゃが」とタカ爺は言った。118


      洋品店は店主の妻が、よく店に出ていた。 タカ爺が通りかかると「ご覧になっていってください」と軽く声をかけていた。 たまに、ステテコを買ったりしたが、タカ爺の好みの女でいくらか安っぽい色気を発散させていたせいもある。 商店街に似合わない厚化粧と髪形がタカ爺のスケベ心を引きつけた。 そうだったのか。 タカ爺は、早速どうやって未亡人を慰めに行こうかな、と思った。 ご近所のお友達じゃ・・・ 175

恐怖体験

     サラリーマンが遅く帰宅する時間、暗がりの中タカ爺は通りすぎる人をぼんやり見ていた。 見る限りでは、皆何も問題なさそうだが、人は思いもよらない過去を背負っている。 結構悪い人も大勢いるのではないだろうか。 向こうの方で、髪を振り乱してわめき声を上げ酒に酔った年配の女がヨロヨロして騒がしい。 15


     女は人と争いつづけて、今は誰にも相手にされず孤独な人生を送っているのだ。 実際、不倫を繰り返し、騙したり騙されたりの生活だった。 人に嫌がらせをしてきたので、憎しみに満ちた顔になり、誰でも見たらホラー映画を見るような気分になっただろう。 目の奥が怪しく光って、人間離れしている。 見つめられると石なると言う話しがあるが、恐ろしくて此方が固まるくらいの凄みがある。 17


     異様な狂乱振りは、孤独と不安にさいなまれた人間の姿であった。 暗いのでタカ爺には良く見えていなかった。 ただの酔っ払いだと思っていたら、よろけながら女が此方へ近づいてきたので初めて顔を見た。 「うわっ!」 口紅を真っ赤に塗っているのではなくて、血なのだ。 口の周りに血がしたっている。 驚きと同時に思わず顔をそむけそうになったが、まともに見るとやっぱり口の周りは血だらけだ。 「ど、ど、どうして・・・」その瞬間女はよろけついでにドサッとタカ爺に覆い被さろうとした。 大分飲んでいるようだ。207


      転んで怪我をして前歯を打ち、弱っていた前歯が抜け落ちたのだった。 タカ爺にかぶさると女は手を伸ばし、タカ爺の入れ歯を奪い取ろうとした。 そうとは知らず、無我夢中でタカ爺はあえいだ。 「ワシは占い師じゃ。 ここへ来る前にお払いをするべきじゃ」と、途切れ途切れに訴えるのであった。39

竹物語

     長い一日、長い一週間と感じていたのは若い頃で、今はあっという間に過ぎる。 人間の一生は、まるで競馬のようにあっという間に終るのだ。 タカ爺はそんな事を思って歩いていると、かすかに女性の笑い声が聞こえてきた。 静寂の中で聞こえる綺麗な笑い声がかすかに響く。  遠くを見まわしても誰もいない。77 


     タカ爺は吸い寄せられるように声の聞こえる方へ行ってみると、数人の女達が自分達の幸福感に酔って楽しそうにしていた。 彼女達の雰囲気は、まさに竹を割ったようなさわやかさと新鮮さがあった。 皆はタカ爺に気付くと、微笑みながら一人が「私達、地球人ではありません」と言った。 361


     「ヘェー。 それは、それは、この地球へようこそ」とバカにして言った。 「地球に住んでりゃ、地球人じゃないのかね」とタカ爺が言うと、それでも彼女達は地球人である事を否定した。 バカバカし過ぎて、相手をするほどワシには無駄な時間は無いと思って帰ろうと、ふと目をそらすとそばにある竹の一部分が白く光っている。 何だこれは。 こんな事してどうするのだ。 363


     何をやっている連中か知らないが、竹取物語の竹取の翁になったような気がした。 ワシが天界の人間と出会っても始まらない。 竹の中からかぐや姫が現れるなど、非現実的だ。 しかし、あの物語は、不死の薬と、天の羽衣が出てきた事を思い出した。 タカ爺はあざ笑って「不死の薬だけよこして、さっさと昇天すれば良いのじゃ」と思わず捨て台詞を吐いた。 一体この集団は、何なのだと首をかしげるタカ爺だったが捨て台詞を吐くと同時にその場を去った。 タカ爺は「竹割り教」という噂の宗教を知ったのは大分後になってからである。 「ワシを信じるのが正解なのじゃが・・・」と、笑い転げるタカ爺であった 。 422

パンドラの箱

     浦島太郎は竜宮城から帰るとき、開けてはならないという玉手箱を貰った。 しかし開けた。 政治家は裏金、賄賂を受け取ってはいけないと知りつつ、誘惑に負けて受け取る事がある。 言わないで欲しいと願っている秘密を、誰でもしゃべってしまうこともある。8


     タカ爺が占いの席にいると、「すぐに戻りますから、済みませんがこの箱を置かせてもらいたいのですが・・・」と頼まれた。 顔見知りの客でもない初対面の青年だった。 何かあったら大切な物では責任持てないので断ると、「お願いします。 10分ほどで戻りますから」と強く頼むと、慌てて行ってしまった。 A4サイズくらいの何処にでもあるような箱だった。308 


     すぐに取りに来るはずが、来ない。 もうすぐ帰る時刻だし、持ちかえるのは嫌だし面倒だ。 「全く!こんな物!」タカ爺は腹立たしく思った。 その瞬間、パンドラの箱を思い起こした。 開けたら、恨み、妬み、病気などの嫌な物ばかりが出て来て最後に希望が出てくる話しだ。 勝手に置いていったのだから、中を覗いてやれ!と思い、蓋を開けた。 訳の解らない文字で書かれた書類、本、スクラップブック、雑記帖、筆記用具が入っていた。 最後に透明シートの中に、見知らぬ男の写真が大切に入れられていた。 420


     「これは誰だ。 バカみたいな顔をしておるが・・・」とつぶやくと、写真を取り出して、崇拝するとおぼしき写真の人物の両頬に渦巻きを書き入れた。 ついでに、眼鏡の下のまつげを伸ばして修正しておいた。 エスカレートしてもっと悪戯書きをしたかったが、そこまでにしてそっと蓋をするのであった。 「パンドラの箱」なら最後に可愛い女の子の写真でも出てくるはずなのに。 タカ爺はそれがペロリン国王の写真とは知らず箱を置き去りにして帰宅したのだった。 46

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マドンナお吟

Author:マドンナお吟
年齢不詳で正体不明

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