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ハワイ旅行

     戦後、日本は超大国アメリカに大きな影響を受けた。 アメリカは今、一頃ほどの輝きはないがタカ爺にとって魅力ある国である。 タカ爺は英語を話せないので、あまり不安を持たずに行かれる可能性の高い所はハワイである。 これまでタカ爺は外国に縁がなかった。  ハワイなら日本人が多いし、暖かいのでアロハシャツの軽装で過せる。 ついにパッケージツアーで行くことにした。


      ホノルル空港に着くと、レイの花を首にかけられ南国ムード満点であった。 ああ、やはり来てみて良かったと気持ちが軽くなった。 タカ爺はホテルのフラダンスのショーを楽しんだり、明るい町の様子を見て歩いて過ごした。 不法労働になるが、日本人相手にこんな所で占いでも出来そうだな、などと思った。 


      暫くすると、突然の凄い雨、慌ててショッピングセンターの中で雨宿りした。 ちょっと待っていたら、すぐに雨はやみ、打って変わってさっきまでのカラリとした青空の良い天気に戻った。 天気に合わせて、外へ出ると日本ではあまり見られない虹が出ていた。 感動してタカ爺はその大きな虹を暫く見上げていた。 そこへ見覚えのある人が通った。 タカ爺は思わず息を飲んだ。


      日系人は多いが、絶対に見間違うはずのない日本人。 向こうもタカ爺を見てすぐに気付いた。 驚きのあまり、二人は声も出せなかった。 なんと、それは遠い昔、逃げた女房だ。 タカ爺の女好きと身勝手な行動に我慢がならず、愛想を尽かし逃げて行った。 過去の記憶が甦る。 虹をバックに二人は呆然と見詰め合った。 何を言えば良いのか解らなかった。 とっさに「あの虹はにじんでおる。 にじんでいるから虹って云うんだ、畜生!」とタカ爺がいうと、思わず二人は目に涙をにじませて黙ってたたずむのだった。

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タカ爺とブログ

     タカ爺は眼鏡をかけるようようになってから本を読まなくなった。 しかし、占い師でも国際政治に興味を持ち、時代についていけるよう、パソコンに不慣れだがメールを打てるくらいの努力をしている。 ネットをやってみたら「マドンナお吟の観察物語」の「不完全な悪魔」という小説に行き当たった。 何だか読んでいて腑に落ちない。 誠実に生きようとしない人間の話しではないか。 人の善意がどうした、裏切ったとか、だから何なのじゃ。


     タカ爺は批判的に自分の欠点を指摘されているようで面白くない。 世の中、必要悪と云う事があって、なんでもやらなければワシのようにはなれないのじゃ。 仙人に近い暮らしをしているのは、これまでの経緯を経た結果でありワシに逆らう者は容赦せぬ。 全く、作者はどんな人間なのか占ってみたいが生年月日がわからないので占えない。 このワシの知っている女に似ているような気がしてならないが誰だかわからないと、タカ爺は思った。 まあ、そんなことは良い。 今日も飲んで寝ることにしよう。


     心地よい眠りに入ると、タカ爺は夢の中で自分を占っていた。 占いに出た言葉は、「借金」「女狂い」「商品詐欺」である。 ギクリとするタカ爺であるが、その向こうで変な笑いをしている女が数人いた。 見覚えがある人物と全然知らない人物もいる。 しかもTVに出てくる「地獄に落ちるわよ!」などと言う有名な女占い師も強烈な顔をして一緒にいる。 「ああ、嫌だ!」タカ爺は、ぞっとしてそこで目が覚めた。 思い当たるあの言葉が・・・ワシは仙人を目指して人を癒し、尊敬に値する人間で通っているのじゃ。 嫌な事は忘れて、タカ爺は気合を入れるのであった。

カラス

     今日はゴミの日だ。 早朝ゴミ収集所に行くとカラスがいた。 どうにかならないのか、あのカラス。 タカ爺は自然食品の開発にも取り組んでいる。 身近な所でカラスを利用しよう。 カラスの恩恵をこうむって予知能力が高まるかもしれない。 鳥インフルエンザも去った事だ。 捕獲作戦を練って実践してみる。


      タカ爺は、とにかくカラスを捕獲しようとすると、カラスは集団で人間をバカにするではないか。 凄く大きいカラスもいるのだ。 食べるにはスズメより肉の量が多い。 餌をあさっている瞬間を狙えば結構捕まえる事ができそうだ。 敵もさる事ながら、タカ爺は瞬間鋭いくちばしで襲われて僅かに血を流したこともあった。 怖いな。 ハゲタカみたいだな。 だが捕獲の要領を得ると、襲ってくる瞬間が解るので撃退することに慣れれば大丈夫だろう。


       いざ、捕まえようとすると、なぜか突然昔の彼女を思い起こさせる感覚が甦った。 そういえば遠い昔「僕と結婚したら大変だよ」と、言った事があった。 甘く切ない思い出。 純愛。 タカ爺が転職を繰り返していた頃だが、彼女から突然の別れ言い出された。 「私達、違いすぎるわ。 別々の道を行きましょう」と、涙を浮かべていた。 あの時「何故泣くの?」と、タカ爺は言った。 「可愛い七つの子があるからよ」とは言わなかったが、そんな彼女を思い出して感傷的な気分になったのである。 どうして昔の事を今思い出したりするのだ。


      しかし、何処かで見覚えのあるカラスの顔。 そうだ、可愛い目をした良い子だったが黒い服を好んできていた彼女、タカ爺が寝ている瞬間包丁で脅す彼女の顔にどこか面影があるのだった。

欲望

     「あなたに抱かれた私は蝶になる♪」昔の歌は良い歌だな、とタカ爺は口ずさんでいた。 「白い蝶のサンバ」のリズムでさなぎから蝶へ・・・  タカ爺はこの種の話題が大好きで、気が付くと自分の好みのフレーズを歌っている事がある。 蝶はヒラヒラと自由な世界へ美しくなって軽やかに飛び立つのだ。 頼まれなくても蝶になる手伝いなら買って出るのだが、と思わずガハハハハと大笑いをした。


      ワシも歳をとったが、まだまだ若い者に負けてはおらぬ。 むしろ、奇跡的に自分は若返るのではないかと思うくらいの気持ちで、タカ爺の欲望は不滅であった。 恐れる物はなにもない勢いである。 そんな事を考えながら、飽きもせず占いで女の手を触るくらいで我慢している。 若い女のエネルギーにあやかりたいものよ。 何か効果的な方法はないのか。 もっと面白い事はないのか。


     そんな事を考えながらいつものように占いに出かける道すがら、「献血にご協力お願いしまーす。」と言う声が連続して響いた。 白い車が泊まり、そばで看板を掲げて人が立っている。 その瞬間、人間の生き血でも吸うと更に若返るのではないか?と、ただ一人薄ら笑いを浮かべた。 自分がコウモリのようであるとはつゆ知らず、まるで他人事のように永遠に生き続ける吸血コウモリ、吸血鬼ドラキュラ伯爵を連想したのである。


     皆から集めた血があの車の中にあるな。 それを貰えば、さなぎから蝶への変身ならぬ、コウモリから吸血コウモリの変身だ。 自家製青汁に留まらず更なるサプリの開発の為、そっと車の中の様子を伺うタカ爺であった。

趣味

     散歩がてら出かけたタカ爺は帰宅するのになぜか反対方向の電車に乗った。 少しお酒も飲んでいたかな。 こう見えてもタカ爺は、経済に明るくかなりの知識がある。 以前は経済新聞を取っていたほどだ。 


     人もまばらでゆったり座ろうとすると、見覚えのある人物が前をゆっくり通りすぎた。 何処かで見た事のある顔だが・・・ 思い出せないな。 次の瞬間はたと気付いた。 あのミラーマンではないか。 ミラーマンといえば・・・小道具は持っていないようだ。 あっ! 女子高生だ。 彼女達は、何やら楽しそうに話しながら電車に乗ってきた。 


     まさか、と思いながら期待してタカ爺は様子を見ていたら、案の定ミラーマンは手鏡をさりげなくポケットから出すではないか。 そこは正義の味方、素早く立ちあがり「怪しげに手鏡を差し出すとは不可解ではないか!」とかなんとか言って、タカ爺は素早くその手鏡に映ったのを覗くつもりでミラーマンに近づいた。 するとミラーマンはそれ以上に早く、人の近寄る気配に気付くとさっと手鏡をタカ爺に持たせた。 何もかも瞬間の出来事だ。 タカ爺は唖然として持たされた。 な、な、何だ、と思った瞬間、後方で「おまえを現行犯で逮捕する。 署まで動行願おう」と、声がする。 タカ爺の腕を掴むと、もう一人が印籠を振りかざすかのように警察手帳を出した。 どうやら私服の刑事だ。 レーザー攻撃ならぬ大勢の驚きの視線を一身に受けながら、タカ爺は刑事たちと電車を降りる。 


     ミラーマンは取り押さえられずに、タカ爺が連れて行かれてしまった。 「変態! ミラーマン危機一髪! 覚えておけ!」と、気が動転してタカ爺は訳のわからないことを叫んでいた。 「おとなしくするんだ。 いざ、異次元の世界へ出発だ」と、刑事は言った。 「おまえの行く異次元の世界は、格子のついた部屋になるんだからな」と、もう一人が付け加えた。 


     「ワシはミラーマンじゃない。 無実じゃ」タカ爺は叫んだ。 「少し静かにしないか。 もう解っている。 ミラーマンは変身するのだろ」と、刑事は冷ややかな口調でなだめた。

タカ爺の実態

     タカ爺は占い師をしているうち、占い師独特のファッションが随分似合うようになってきた。  路地裏のほのかな明かりの下で、若い女の子の手をさりげなく握り締めながら占うのはまんざら悪いものではない。 今日はどんな子が来るのか楽しみじゃ。 タカ爺の目は女性客にキラキラ輝きっぱなしである。  独特の帽子を被り、地味な和服を着ているが、なぜかコウモリのように見える。 暗がりがお好みのようで・・・ 

      実はコウモリは果物なども食べるが、昆虫などの虫を食べる。 何処か共通している。 タカ爺は占いが終って明け方になると帰ってきて寝る。 コウモリも明け方になるとねぐらに戻る夜行性だ。 コウモリを見て、「ワー、可愛い」と思わず感嘆する人は珍しいのではないか。 不気味さを覚える人のほうが多い事だろう.


     小ざかしいような顔つき、パッと両手を広げて胸の前で腕をバツ印に組んで自分の羽で身を覆う抜け目のないような姿。 何事もなかったかのように、逆さになって安心してスヤスヤ眠る。 全く何処まで似ていれば気が済むのだ。 ちなみにバットマンは魅力ある人物で、コウモリをなぞらえてマントをつけているが、輝かしい正体を明かさない為の変装小道具である。 しかもヒーローとして期待されている。 どういう訳かコウモリにはあまり天敵がいない。 


     コウモリが、何をやったかといえば確かに人間に大きな被害や病気をもたらしたりはしない。  地域によっては神聖な生き物らしい。 タカ爺は眠りに入る前に独り言を言った。 「ワシは神聖な占い師なのじゃ。 皆、占いなど頼らずワシを見習って生きるべきじゃが・・・ 自然体で」と。 

寒さ対策

     ハ、ハ、ハクション! 早々と切り上げる事にしよう。 冬場の外での占いは寒いものだ。 一杯飲みたいな、と思うがお酒の匂いをさせて占い師をするわけにはいかない。 タカ爺は女装する趣味はないがあまりにも寒い時は、思いきってストッキングか厚手のタイツをはいてみようと考えた。 やはり男性バレーダンサーのタイツにしよう。


          タカ爺はまずタイツだけをはいてみると白鳥の湖を思いだし、思わず踊り出したくなった。 ワシのタイツ姿はエロチックではないか。 白いタイツなら白鳥の湖の王子だがタカ爺は黒いタイツを選んだ。 ステテコの下に良いな。 一緒にレオタードも身につけてみたら、ぴったりして暖かいだろう。 身体にピタッ。 男性バレーダンサーの誕生! 両手を広げ、そのまま素早高く宙に舞い上がるや足を前後に、床と水平かと思われるほど開脚。 高くジャンプすると、その頂点で足を数回交差させて着地といきたいところだが、伸びやかに身体をそらすのもおぼつかない有様であった。


          いつもの占い師ファッションの下に厚手のタイツでツッタカタ、ツッタカタ♪と占いに出かけた。 寒さしのぎに身体を動かそう。 時として、パッと重ね合わさった着物の前をマントのように開いたかと思うと、それを脱ぎ捨てタイツとレオタード姿で足腰の柔軟体操をしてみることがあった。 


          暗がりの中、新種の人間が出没すると噂されるようになったのはこの頃である。 「この辺に豚の顔したコウモリ男が現れるらしいわ」と。

タカ爺のペット

    タカ爺はなぜか身寄りのないネコを手なずけて飼っている。 「ターンとお食べ」 以前は見るといじめていたのに、今はたっぷり餌をやりどのネコも丸々太らせて、運動不足かと思われるほどだった。 ネコの餌にしては上等な物を与えているせいもある。 


      実はタカ爺は料理が得意でひそかにネコを料理しているのだった。 訪れた人に何も言わずネコ料理を振舞ってみたが、皆何の肉かわからないようだが抵抗なく食べていた。 タカ爺も、一緒に味わっていた。 ところが一回ネコを焼いただけでフライパンが使えなくなる。 洗っても洗っても、油成分とは違う何かが含まれていた。 何の成分が多いのか知らないが、鳥や豚などでは起きない事なのに・・・ これではどうしようもないではないか。


     しょうがないのでスープの出汁にする事にした。 これは狸汁からヒントを得たのである。 調味料を足しながら実験していくと、タカ爺の好ましい味にたどり着いた。 「ウーン」いけるじゃないか。 冷え性の人には温まるような気がした。 中国では犬や猫を食べるのだから、驚く事はないと思っている。 タカ爺は作り置きスープを毎日少しづつ飲んでいた。  気のせいか、軽やかに動ける。 体調が良いように感じる。 これは気のせいではないぞ。


      やはり漢方ではないが、毎日続けると違うな。 人当たりが悪く無愛想だったタカ爺は、きちんと挨拶するのが億劫でなくなった。 「おはようございます」と、元気に近所の人に挨拶すると近所の人たちはタカ爺の変化に気付いた。 「どうしたのよ、急に猫なで声出して」 「ホント、どうしたのかしら。 あのジジイ、ネコ被ってるだけじゃないの」と、噂した。

タカ爺の家庭菜園

     タカ爺は家庭菜園をしていた。 もっと色々な物を栽培してみたいと思っている。 上手く育つようになって喜んでいる所だ。 トマト、かぼちゃ、パセリそして大麻やケシではないが薬草も良いと思い、何種類か育てて混ぜ合わせて自分専用の無農薬健康食品にした。 しかし、葉の色に良く似た虫が付いて、大切な葉を食い荒らされる事が多い。 こいつらに食わす為に栽培しているわけじゃないんだぞ。 タカ爺は腹が立って虫を摘み上げた。 


     ちょっと、待て! ただ殺してはもったいない、タカ爺は虫を集めると、カラカラになるまで乾燥させすり鉢ですって粉にした。 佃煮にするには量が少なすぎる。 何といっても薬草を食べている虫だから、作った野菜ジュースに混ぜて飲んでみよう。 これこそ、自然食品だ。 青汁ふうのジュースができあがると、グイッと飲み干し、「まずーい、もう一杯」と思わず声を漏らす事はなかった。 暫く続けると、どうした事かタカ爺のアレルギーはすっかり消えた。 効果抜群ではないか。 飲み始めてから色々な症状は出るが健康状態は良いのである。 


     タカ爺はそんな事をしながら、いつのまにやら占い師をやっていた。 大都会の裏通り、悩みを抱える人達が、占って欲しいとやってくる。 しかも、にわか占い師なのに良く当たるのである。 空を見上げるまでもなくタカ爺は、明日は雨になるなと思った。


     ワシにはちゃんとお告げがあるのだ。 それもののはず虫の知らせがあるのじゃよ。 

顛末 第49回(最終)

     そこで貴子が何か言ってきたら「返す」と言って少し返済して適当になだめておくことにしよう。 亜希子の時は必ず返済して信用を勝ち取ってから逃げたが、今度は違う。


     譲二は少しだけ返して、借りておく魂胆だが、相手の出方次第で上手くその場はとり繕うことは可能だと考えている。 遺産が入るのだから、慌てる必要無い。 譲二は借金だらけの生活に慣れてきていた。 実は不倫相手は貴子が初めてではなかった。 前の不倫は長続きしなかったが、譲二にとってはどうでもよい事だった。 貴子より若い人妻だったが、過ぎてしまえば記憶から薄れていた。 貴子に対してはいまいましい女だと腹立たしさが甦るだけで、別れたってかまわないのである。 今でも自分が優位に立っていると信じている譲二である。 この程度の事でひるむつもりはなかった。 むしろ自分が裏切られた気がして悔しさで一杯の気持ちが先に立っていた。 


     彼は自分のした事が自分に跳ね返ってきたとは思ってはいない。 あんな女達はもうどうでも良いじゃないか。 運良く新しい顧客に、いくらか金持ちらしい人物が来たばかりだし・・・ お人よしそうなあのおばチャン、また別のパッケージデザインの依頼に来ると言っていたな。 これから得意先となりそうなので様子を見ながら親切にしておく価値はありそうだ。 全く借金があると忙しいな、と思った。 譲二は気持ちを切り替えると、何事もなかったかように庭に出てすがすがしい朝に深呼吸してあたりを見まわすのであった。 気分を切り替え、既に翌日にはこれまで通り後ろを振り向かない前向きに考える明るい譲二に戻っていたのである。 不安を持たないこれまで通りの譲二に。



次回から、読みきり短編を御送りします。 引き続き宜しくお願いします。  マドンナお吟

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マドンナお吟

Author:マドンナお吟
年齢不詳で正体不明

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