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仮面の下 第3回

譲二は明るい性格で、彼なりに色々と関心を持ち、とにかく行動的であった。 何でもない事だが、思いついたら実際にそれを行動に移す事が普通の人には難しい場合がある。 譲二はたいていのことに高い関心を持ち好奇心旺盛で行動力を伴う人物である。 彼の魅力はそこに集約されていた。 だからこそ詐欺を続けてきたのである。


譲二はスポーツ、音楽、文学、政治、経済、ファッション、料理、釣り、スポーツ、マージャンなどのギャンブルと何でも興味を持っていた。 特に美術は好きでサラリーマン時代は僅かな時間を使ってデッサンをやったが、学生時代は油絵を描いていた。 長く続けることは出来なかったが陶芸もやってみたことがある。 彼は鋭い観察力をもっており、センスも悪くないのである。 最終的にデザインの仕事に就いたのも幸運であった。 庭の手入れもするし動物も好きであった。 犬や猫を飼っても世話が面倒だと言って放棄する事はなかった。 お酒もたしなみ、はめを外さない程度に楽しむのが好きだった。 美味しい料理に好みのお酒を目の前にするのは至福のときでもあったので、度々行きつけの店に顔を出している。 最低限、何があってもそれは辞められない。



  彼は決して周りから見ても変人ではない、これで詐欺をする人とは思えないほど不思議ないくらい魅力ある人である。 最近は体重が増え、若い頃のようなホストっぽさは全く感じないが潜在意識の中ではかなりの自信過剰であったはずである。 苦労して詐欺師としての成功を目指したのではなく、本来の性格が、贅沢で楽しむ事が好きで自己中心の性格であったため、 根底は全てがお金であるという事に起因していたである。  いざとなったらトンズラを決め込みスレスレのところでやってのけていた。 通常の詐欺はスリル、不安や手間暇かけた面倒くささがあるが、彼は楽しみを伴って行動していたのであった。 それでなければここまでの詐欺まがいの事は続ける事はできないであろう。 お金を奪い取ってしまいたいという、この不思議な精神構造は身勝手の一言である。

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仮面の下 第2回

      譲二は現在53歳、二人の子供がいる。 19歳の長女と17歳の長男である。 34歳で結婚し、同年齢の妻の幸子も被害者の一人だが、妻は彼が詐欺師と云う事は全く知らない。 そんな譲二は子煩悩で良き父であり、ほどほどに良い夫の立場を定着させている。    妻は旅行の添乗員をしており、気に入った仕事であるので結婚退職をしないで仕事はそのまま続けている。 幸子は、譲二が仕事を続ける事に協力的であったので助かったと感じている。 子供達は問題無く成長している。 譲二は子供からの見返りなど考えず打算無しで甘やかしているくらいであった。 子供達は、父親に不満が無いわけではなかったが、愛されている事は十分承知していた。 


     幸子は添乗員という仕事柄、続けて家を空けることもあり、子供達は幼い頃は普通の家庭より父親との接触が多かったのである。   譲二は、結婚を機に自宅でデザイン関係の仕事を始めたのである。 始めた当初の収入は不安定であったが妻が働いていたので、経済的不安はあまり深刻ではなかった。 数年前からようやく、そのデザインの仕事は順調に軌道に乗り安定してきたのである。 結婚生活が、譲二の持つもう一つの健全な顔を出し続ける日常生活であったといえる。       


     幸子はその健全な姿が本来の夫の人柄であると思っている。 もちろん譲二にとって、家庭は自分自身が築き上げてきた全てであるので波風を立てたくなかった。 何よりも本性が妻にばれる事を恐れて疑われないよう磐石なふるまいをしていた。 それでも譲二の日常生活はほとんど無理する事などは無かった。 何でも積極的に自分でやる譲二は、仕事を持つ幸子とお互いに気を使う結果だったのだ。 しかし彼の借金体質は変わっていない。


      最近は健康管理にも気をつけなければならない年齢になっている。 譲二は最初から高級車に乗りブランド服を身にまとい、それなりの準備をして金持ちの女に取り入ろうとするのではなく手っ取り早く近場のカモを見つけるのだった。 綿密な計画を立てて行動しても予想外な事が多いので、むしろ出たとこ勝負であっけらかんとしているのであった。 状況次第で嘘や言い逃れが上手く、悟られないよう気をつけ、上手くたちまわる心配しかしていなかった。       


     過去を振り返らず前向きに明るく生活きていける性格なのである。 どちらかといえば、エリート詐欺師の部類に入る。 全ての人が詐欺師になろうと思ってなれるわけではない。 天性備わっているのではないかと思うほどの行動力と冷酷さがなければ出来ない事である。


つづく

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

仮面の下 第1回

(1) 仮面の下


     譲二は、実は詐欺師といっても良いだろう。 借金体質を抜け出せない性格である。 しかし捕まるような事をするヤツの気が知れないと、本人は自分が詐欺師であるという自覚は全く無い。 


     テレビで事件を知る度に、そんな事をしたって割に合わないじゃないか、とあきれているのである。 会社から横領したお金を利用して何人も愛人がいたとか、劇場詐欺で憶単位のお金を騙すあたりはスケールとアイデアは認める。 教祖になって人を洗脳して女の子に囲まれて生活するあたりは羨ましい限りで大したものだ。 


     保険金殺人も興味ある事件だが発覚したのでは世が世なら市中引きまわしの上張りつけ獄門だ。  いずれ解るような事をやって、逃げきれるほど世の中そんなに甘いわけないと思っている。 譲二は無謀な罪を犯して指名手配され、刑務所送りになるなど真っ平だし、完全犯罪はなかなか難しいものだと思っている。 彼は若い頃、サラリーマンをやっていたが今はフリーで仕事をしており、まるで副業にずっと詐欺を続けているといっても良いだろう。 


     彼の場合、世間が驚くような詐欺を片手間にやるのは無理だったので、現実的な方法しか残されていなかったというほうが正しい。 ごく普通の生活をしているようでも、そこは詐欺師のはしくれであるので贅沢好みで、豊かさと満足の為に手段は選ばないのである。 


     詐欺師は自己愛が強く自己中心なので、自分の居心地が悪いのをひどく嫌うのであった。人から見たら、副業を面白半分にやっているように見えるに違いない。 あたかも趣味と実益を兼ねているかのように。


つづく

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